NOWHERE BOY

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Beck 『Colors』

カラーズカラーズ
ベック・ハンセン ベック

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ベックの3年8カ月ぶりとなるニュー・アルバム『Colors』。

2015年に発表されたシングル"Dreams"を聴いた時から予感はあった。次のアルバムでは「やんちゃなベック」が帰ってくるに違いない。果たして、『Colors』はベックがこれまでになく真っ直ぐにポップと向き合ったアルバムと相成りました。これはポップ全盛の音楽シーンに対するベックなりのアンサーなのだろうか。

これまでのキャリアを振り返ればベックの音楽にはサプライズがつきもの。今から20年以上前、「俺は負け犬、なぜ殺さない?」というリリックと共に登場した時の衝撃度は相当なものでしたから。僕はまだ中学生でしたけど、狂気と紙一重というか、「何この人(・Θ・;)」感が半端なく漂っていたもの。古い話で申し訳ない。

1996年に金字塔『Odelay』を発表し、若きマッド・サイエンティストは時代の寵児へ。あの"Loser"がまさかここまで大衆に愛される存在になろうとは。でも彼はいつも笑顔でペロッと舌を出してましたね。芸術家の血筋と幅広いジャンルを参照する視点、そしてヒップホップ世代ならでの編集感覚を併せ持つ自称「道を誤ったフォーク・シンガー」は僕らのヒーローとなった。

そしてイメージを一変させたという意味で2002年作『Sea Change』もまたサプライズでしたね。ケレン味やジョークを排して真正面から歌に取り組んだ結果、ベック史上最も美しいアルバムが生まれた。それまでは音のデザインの部分に目が行きがちだったけど、純粋に歌い手/作曲家として凄い人だったんだと思い知らされたもの。そしてこのあたりからだろうか、ベックは「笑わなく」なった。

話を『Colors』に戻す。本作の共同プロデューサーに迎えられたのはグレッグ・カースティン。この人の名前、最近よく見かけますよね。でも実は売れっ子プロデューサーになる前はベックのツアー・メンバーだったらしい。つまりベックとは気心の知れた仲というわけ。今回、彼はソングライティングにも深く関わっている模様。

リード・トラック"Colors"からいきなり引き込まれます。メロディとビートが恋をする、鮮やかなダンス・ポップ・チューン。掴みはバッチリ。でもここで驚いてる場合じゃない。だってこのテンションが最後まで落ちないんだから。

2曲目以降も手を緩める事なく、強力なポップ・ソングの雨あられ。パワー・ポップな"I'm So Free"、ビートリーなメロディがたまらない"Dear Life"、改めてミックスし直した"Dreams"、ベック流ヒップホップ"Wow"、小気味よいギターのカッティングにウキウキする"Up All Night”、そして胸に沁みるラスト"Fix Me"。ていうかね、もう全曲素晴らしいんですよ。

細部まで綿密に計算されたアレンジも特筆もので、クリアなサウンド・プロダクションも相まって楽曲に躍動感を与えています。さまざまな音が適切な場所に配置されて「必然」として鳴っている。

誰かと一緒に踊り、歌いたくなる。とにかく聴いていて楽しくてしょうがない。『Colors』は最高のポップ・ミュージックだけが持ち得る幸福感に満ち溢れた傑作。そしてここには久しぶりに笑ってるベックがいる。おかえり、ベックちゃん。


Beck "Colors"



Beck "Dear Life"



Beck "Up All Night"

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