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映画『グランド・ブダペスト・ホテル』(2013年イギリス・ドイツ)

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現在日本公開中のウェス・アンダーソン監督の最新作『グランド・ブダペスト・ホテル』。アメリカの若手映画監督のなかでも指折りの人気を誇るウェスですが、日本でもここ数年で彼の名前はかなり浸透してきた様子。僕もウェスの大ファンなので『ダージリン急行』以降の作品は欠かさず劇場に足を運んでるんですけど、今回の『グランド・ブダペスト・ホテル』の予想以上の盛況ぶりには驚きました(パンフレットが完売するほど!)。TOHOシネマズの宣伝にも力が入ってたし、おそらく前作『ムーンライズ・キングダム』の評判の良さも影響してるんでしょう。



あらすじ:1932年、品格が漂うグランド・ブダペスト・ホテルを仕切る名コンシェルジュのグスタヴ・H(レイフ・ファインズ)は、究極のおもてなしを信条に大勢の顧客たちをもてなしていた。しかし、常連客のマダムD(ティルダ・スウィントン)が殺されたことでばく大な遺産争いに巻き込まれてしまう。グスタヴは信頼するベルボーイのゼロ(トニー・レヴォロリ)と一緒にホテルの威信を維持すべく、ヨーロッパ中を駆け巡り……。(以上シネマ・トゥデイより)



ウェスの専売特許であるポップな映像センスやシュールなギャグを盛り込んだ箱庭的な世界観は一貫しており、本作ではそこに20世紀前半のヨーロッパの美意識が加わっています。格式高いグランド・ブダペスト・ホテルを取り仕切る伝説のコンシェルジュ、ムッシュ・グスタヴ・Hが自らにかけられたマダムDの殺人容疑を晴らすべく、新人ベルボーイのゼロを従えて奔走するドタバタ・コメディです。

舞台となるのはヨーロッパ大陸の東端に位置する架空の国家、ズブロフカ共和国。まるでお菓子で作られたような可愛らしいデザインのグランド・ブダペスト・ホテルの外観をはじめ、ヨーロピアンな雰囲気が漂う美しい色彩感覚の映像は圧巻。また衣装や小物も相変わらずディティールまで凝りまくっていて、ヴィジュアル面だけでも十分楽しませてくれます。

そしてウェス作品史上最も豪勢なキャスティングも見どころの一つで、グスタヴ・Hに扮するレイフ・ファインズを筆頭にジュード・ロウやティルダ・スウィントン、エイドリアン・ブロディ、エドワード・ノートン、ウィレム・デフォー、ハーヴェイ・カイテル、トム・ウィルキンソン、レア・セドゥなどなど。よくもまぁこれだけの顔触れを集めたもんだ。そこへジェイソン・シュワルツマンやビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソンといったウェス映画に欠かせない常連組が加わり、物語に良い具合にスパイスを利かせています。

常に紳士的な態度を崩さず、ここぞという場面では必ず詩を朗読し、孤独を抱えた老貴婦人の顧客に最高のおもてなし(若干イヤラしい意味も含んでおります(〃∇〃))を提供するムッシュ・グスタヴ・Hと彼に師事するロビーボーイの少年ゼロの凸凹コンビぶりが最高に見もの。さらにゼロが恋に落ちるパティシエの女の子アガサやウィレム・デフォー演じる非情な殺し屋(怖い!ヽ(´Д`;)ノ)など魅力的なキャラクターが集っています。

今作は1930年代に活躍したオーストリアの作家シュテファン・ツヴァイクに捧げられており、劇中に登場する作家がグランド・ブダペスト・ホテルを訪れた後に南米へ発つあたりもツヴァイクの半生と共通しています。かつての繁栄や失われた理想への想いがウェスらしいユーモアを含んだ語り口で綴られた、気品とノスタルジーに溢れる逸品。

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