NOWHERE BOY

Getting so much better all the time.

James Blake 『Overgrown』


OvergrownOvergrown
(2013/04/04)
James Blake

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「ポスト・ダブステップの寵児」とも評される若き天才、ジェイムス・ブレイク。2011年に1stアルバム『James Blake』でセンセーショナルなデビューを飾ったのは記憶に新しいですが、それからおよそ2年のインターバルを経て先頃待望の2作目『Overgrown』を発表。全英チャートで初登場8位、全米でも32位にランクインしています。

クラブ・ミュージックを出自にしながらあくまでシンガー・ソングライター的な姿勢に貫かれたデビュー・アルバムは、まるで後年のインディーR&Bの隆盛を予見していたようにも思える内容でした。ブレイクの時代の先を見る才能に感心する一方で、個人的には似たようなトーンの曲が並んでいた前作に今一つ乗り切れなかったのも事実。しかしブライアン・イーノやウータン・クランの首領RZAも参加した今作は少し様相が違っています。
ミニマルで静謐な音響空間やリリカルなメロディーが描く無常感に満ちた世界はこれまでと同様。しかし『James Blake』では何もかもが無機質に聴こえたのに対し、今作で鳴らされる音色やビートの一つ一つからはエモーショナルな感触が伝わってきます。自己の内面と向き合っていた前作から、視線を少しずつ外の世界へ向け始めた意識の変化が音に表れている様子。楽曲のバリエーションも増え、サウンドの輪郭がはっきりとした事で前作に比べるとその世界観がより理解しやすくなったと言えるかもしれません。独特の浮遊感を持った音の中を彷徨うブレイクの悲しみを湛えた歌声が心に響いてくる傑作。個人的には何となくAtoms For Peaceとフランク・オーシャンの間に位置する音という風にも感じていますが、本作で初めてジェイムス・ブレイクという才能の真の凄さを実感できた気がします。


James Blake "Overgrown"



James Blake "Retrograde"

Comment

サム    says... "No Subject"
いいですよね、今作。今頃になって好きになってきました。前作からこうなるとは思ってませんでしたが、今作の雰囲気でもここまでやってくれるとは驚き。次作も楽しみです。
2013.06.18 02:23 | URL | #- [edit]

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